確率思考
タイトル:確率思考
作者:アニーデューク
第1章 人生はチェスではなく、ポーカーだ
キーワード:後付け、後知恵バイアス、プロスペクト理論、自己奉仕バイアス、時間割引
後知恵バイアス:
物事が起きてからそれが予測可能だったと考える傾向。後知恵バイアスは、政治・ゲーム・医療など様々な状況で見られる
敗北による苦痛は、勝利による快感の2倍
決定の質と結果の質を同一視するな!!
→たいていの人は「結果」しかみない
例)
『いままでで良かった意思決定は?』
『いままでで悪かった意思決定は?』
と聞くと
『いままでよかった結果の出来事』
『いままで悪かった結果の出来事』
を話す
・相関関係と因果関係を区別する
・私たちの脳は経験に基づいて、非合理の意思決定を下すことがある
ポーカーでは以下の力が身につく
・正しい意思決定をくだす力
・自分のスキルと運を区別する力
・不確実性に対処する力
チェス:
完全情報ゲーム、意思決定の質が大事、不確実性がない
ポーカー:
不完全情報ゲーム、意思決定の質+運、不確実性がある
意思決定は「正解」か「間違い」という考え方をやめ、間ののグレーゾーンに目盛りをつけろ!!
第2章 じゃあ、賭けてみる?
・意思決定とは賭けである
(投資、住宅の購入、商談、採用など)
賭けの定義:
「将来起こる可能性のあるものに対する検討から生まれた選択」
そこには可能性、選択、リスク、見解、決定が存在する
→ギャンブルなどのゼロサムゲームのイメージが強すぎる
主観はでたらめに形成される。私たちは世の中で耳にしたあらゆる情報を特に調べもせずに信じてしまう。
「私たちが考えるもの」主観形成過程
(1)何かを耳にする
(2)その内容を吟味し、真実か嘘かを判断する
(3)判断を下したのち、主観を形成する
「実際の」主観形成
(1)何かを耳にする
(2)それが真実だと信じる
(3)その後、時間があったり気が向いたりすれば、内容を吟味して真実か嘘かを判断する
“人間とは騙されやすい生き物で、信じやすく疑いにくい。実際、信じるということは簡単で、合理的な判断というよりは自発的な解釈に近い”
・私たちは新しい情報に合わせて主観を変えるのではなく、自分の主観に合うように情報をねじ曲げる
・意思決定とはいかに主観を排除できるか
・「じゃあ、賭けてみる?」は魔法のワード
「賭けるか?」という言葉のレンズを通して、目に見えなかったものがみえてくる
→自分の意見に対して疑うチャンス。
第3章 賭けから学ぶ
人生の変化の結果=意思決定×運
意思決定からもたらされる出来事は、「スキルによる結果」のカテゴリーに入れる
私たちがコントロールできないものによって結果が出たら「運による結果」のカテゴリーに入れる
この分類を人は誤る
ダンアンエリーは「予想通り不合理」といった
→いい結果は自分のおかげ、悪い結果は運のせい
これは自己奉仕バイアスという
第4章 仲間をつくる
・仲間の助けで意思決定の質は上がる
→異なる意見(客観性)を取り入れられ、不確実性を減らすことができる
・多様性を受け入れる
→人は自分と似ている人に惹きつけられる(その方が楽だから)
グループによる推論を高める
(1)主観よりも正確性を重視する。そのために、真実を追求する姿勢、客観性、オープンな思考をグループ内で称える
( 2)メンバーには説明責任が課されることを事前に知らせる
(3)多様な意見をオープンに受け入れる
→こうしたルールを軸に合意が行われることでメンバー間に緋と共同体意識が芽生え、グループから優れた推論が生まれる
第5章 反対意見を味方に
以下の要素がグループの客観性を高める
・公有主義(データを集団内で共有すること)
・普遍主義
・利害超越性
・組織的懐疑主義
結果が出る前に意思決定を分析する
→人は結果ありきで情報を解釈する
第6章 心のタイムトラベル
時間割引:
私たちは未来の自分を犠牲にして現在の自分を優先する
対処法として「10-10-10」という思考法がある
・この選択は10分後にどんな結果になってる?
・この選択は10ヶ月後にどんな結果になってる?
・この選択は10年後にどんな結果になってる?
ポーカープレイヤーの名言
『結局、すべてのポーカーの長い一試合にすぎない』
→ティルトの状態から抜け出す考え方
リスクヘッジのためにシナリオプランニングをする
負の未来から遡る
→悪い出来事を想定する方が目標達成率が高まる
目標達成に失敗した理由を考えれば、障害となりうるものを予測できるので成功確率が高まる
→負の未来に対するシナリオプランニングをしろ!
参考文献
『成功するにはポジティブ思考をすてなさい
願望を実行計画に変えるWOOPの法則』
“人生はポーカーと同じで、一つの長いゲームである。負けることはたくさんあるし、考えうるかぎり最善の賭けをしてもだめなときはだめだ。それでも、未来を確実に予測することは決してできないと理解すれば、私たちはもっと順調で幸せな人生を送ることができる。いつでも完全に正しくあろうとする無理な挑戦をやめ、世界をもっと正確かつ客観的に映し出すように主観を少しずつ調整しながら、不確実性のなかを進んでいけるようになる。戦略的な考え方で未来を見つめれば、舵をしっかりと操れる。学習と改善を続けていけば、さらにその腕は上がるだろう。”
byアニー・デューク
確率思考の戦略論 序章〜3章
確率思考の戦略論
森岡毅
序章 ビジネスの神様はシンプルな顔をしている
・確率を理解することで勝率をあげる
→戦略を確率視点で考える
・ビジネスの神様の顔=プレファレンス(好感度)
確率思考の手順
1.戦略を左右する確率を知る
2.確率のコントロールしやすい領域とできない領域を見分ける
第1章 市場構造の本質
・本質を核に考える
→社会の本質や人間の本質は同じ。もとは一点に集約される
・本質により構造が作られ、現象が生まれてくる
→現象に囚われてはいけない。本質に目を向ける
・市場構造を理解することは、成功確率の高い戦略を選ぶことに繋がる
・市場構造の本質とは、「消費者のプレファレンスによって決定される購買行動の仕組み」がどのカテゴリーでも同じこと
→自動車、歯磨き粉、パンケーキ業界すべて
プレファレンスとは以下の3つにより決定される
・価格
・製品パフォーマンス
・市場競争は一人一人の購入意思決定の奪い合いであり、その核心はプレファレンスである
→奪い合っているのは、延べ購入回数のシェア
プレファレンスを向上させることが延べ購入回数のシェアに繋がる
→延べ購入回数が増えたら売上がup
市場の売上=
延べ購入回数×1購入あたりの平均購入個数×平均単価
第2章 戦略の本質とは何か?
・勝てる戦を探す
→市場構造にはコントロールすべきモノと、しにくいモノがある
戦略の焦点は3つ
・Preference (好感度)
・Awareness (認知)
・Distribution (配荷)
プレファレンスの成長を「質的な成長」、
認知、配荷による成長を「量的な成長」という
認知率の定義:
消費者のエボークトセットに入っているかどうか
配荷率の定義:
市場にいる何%の消費者がその商品を買おうと思えば物理的に買える状態にあるか
プレファレンスの伸び代
M=
自社ブランドを全ての消費者が選択した延べ回数/
消費者の頭数
例:AKB総選挙において
推しメンAの総投票/総投票人口
→この場合、戦略の本質は自社ブランドへの1人あたりの投票数を増やすこと
・Mが増加したらKも増加するが、Kが増加してもMは変わらない
・MによってKが決定する
→Mを伸ばすためにはプレファレンス
プレファレンスを伸ばすには2つ
・水平拡大
・垂直拡大
オススメは水平拡大
→既存ユーザーの深掘りよりも
外を耕す方がマーケットがずっと大きい
⚠︎外を耕す注意点は、既存のプレファレンスを毀損しないこと
第3章 戦略はどうつくるのか?
売上をコントロールする7つの基本的要素
洗剤ブランドの年間の売上の計算
プレファレンスについて
→最重要
⚠︎ブランドエクイティに関する調査手法は多々あるが、手法やエクイティ表現をコロコロ変えないように注意。
2)製品パフォーマンス
→(重要性の観点は)
リピートビジネスかトライアルビジネスか
・作り手が「売れる」と思うものは、消費者が「欲しい!」と思うことと必ずしも一致しない
→製品テスト
3)価格
プレミアムプライシングは正しい
→消費者と企業は、値上げによる果実を共有している
戦略はゴールから考える
・いかに到達地点のゴールを明確化するか
・目的設定こそが最初で最重要な仕事